米国家庭医療の指導医から得た学びについて。頴田病院では、飯塚・頴田家庭医療プログラムの一環として、米国家庭医療の指導医を定期的に招聘しています。

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ピッツバーグからの学び

#017 “高齢者の高齢者包括的機能評価(CGA)について”

“ピッツだより” を御覧の皆様! 松口崇央(飯塚病院 総合診療科 飯塚・頴田家庭医療コース後期研修医)です。
平成26年9月に来日された、ピッツバーグ大学(UPMC)のホフマスター先生からの学びの第3弾です。ホフマスター先生は老年医学・緩和ケアを専門にされているため、前回は終末期、緩和ケア領からの学びをお届けしましたが、今回は老年医学領域からの学び、CGA(高齢者総合的機能評価)についてです!

高齢者は、若い人たちと違って、既に慢性の病気を持っている人や、年齢によっては身体機能の低下がみられる人が多くいらっしゃいます。医学的に問題を多く抱えている高齢者の方々を、どのようにみるのかは、医療者にとってはとても難しく大変な問題です。

今月お届けするのは、そんな多くの問題を抱えている可能性のある高齢者の方々を、包括的かつ体系的にみていくために重要なCGAについての学びのまとめをお伝えしたいと思います。

<高齢者の高齢者包括的機能評価(CGA)について>

高齢者総合的機能評価(CGA)では、高齢者を身体機能、生活機能、精神機能、社会環境の3つの面からとらえていく。それぞれに、簡単なスクリーニングツールが開発されており、問題点を整理して、介入すべき点を理解する。

<高齢者との接し方>
高齢者とのコミュニケーションの注意点 (自己紹介を礼儀正しく、患者を名字で呼ぶ。介護者の同席の必要性を聞く、目線をなるべく水平にあわせる、感覚・認知機能障害がないかチェックする、ゆっくりと十分な声の大きさで話す。注意深いタッチをする。肩、腕、手にやさしく触れてあげることが大事だが、膝に触るのは欧米圏では性的な意味合いを持つことがあるので注意する)

<高齢者の機能の簡易スクリーニングについて>
□ Functional status(機能評価)
➞ADLs(Activities of Daily Living:日常生活動作), IADL(Instrumental ADL:手段的日常 生活動作)を評価。
□ Mobility status(運動機能評価)
➞Get up and Go test (3m離れた椅子から立ち上がり、方向転換してもとの椅子に座るテスト。10秒以内だと問題なし。それ以上で転倒のリスクが高い。また、立ち上がる時に手を使う(膝に手をおくなど)と、運動機能が落ちていると考えるとのこと。)また、理学療法士,作業療法士に機能を評価してもらうことも重要。
□ Nutritional status(栄養状態)の評価
➞るいそう, 意図しない10 ポンド(4.5kg)以上または5%以上の体重減少、栄養不良は病気・抑うつ・経済的困窮・歯列・義歯問題と関連。るいそうは死亡率の上昇に関与しているかもしれない。
□ Vision(視力)の評価
➞白内障、緑内障、黄斑変性、加齢で悪化した調節障害、日常生活で不便なことから聞いて障害を評価する。運転、テレビ鑑賞、読書などので不自由がないかを確認する。新聞、雑誌を読んでもらったり、視力検査で評価していく。
□ Hearing(聴力)の評価
➞耳垢づまりはまず評価する。聴力障害は老人で頻度が高い。両側性、高周波数の難聴。うつ、ひきこもりにつながる。簡易聴力測定器での異常(40dB 1000~2000Hz の難聴)は異常と考える。
□ Cognition(認知機能)の評価
➞3item recall, Clock drawing test(評価は3 点満点。円を描く、時計を描く、針を描く.) Folstein's Mini-Mental State Examination(MMSE)は広く認知機能の評価に使用されるが、著作権が問題となる。記憶、言語の評価に重きをおいている。Montreal Cognitive Assessment (MOCA)は使用無料。Web 上で閲覧できる。管理能力、視空間認知を評価可能。
□ Psychological status(精神状態) の評価
➞高齢者ののうつ病は多い。高齢者うつスケールやPHQ9などを利用し評価していく。悲しみ、落ち込み、絶望を感じるか尋ねる。不安、死別が原因であることも多い。
□ Social Assessment(社会的問題)の評価
➞個人的なサポート、介護者の負担、経済的に困っているか、家庭環境の安全、高齢者虐待、Advance directives(外来で、まずは何を今後の目標とするか、調子が悪くなったらどうするかなどから始める。徐々に死ぬ場所などを聞く。入院してからでは遅いと考える。)
□ Quality of Life (生活の質)の評価
➞人生の目標は何かを聞く(自分の健康についてどう思いますか?) 、身体的、認知的、心理的、社会的な能力など複数の側面を含む。患者の医療、ケアのゴールに対する希望を聞く。
□ Medication Review(薬剤の整理)
➞polypharmacy、薬の副作用、年齢に応じた用量、adherence、長期内服の効力と生命予後を考える(例えば寿命が3ヶ月の患者さんにとって、コレステロールの薬を服用する必要があるかは疑問)。

<高齢者の運転の問題について>
周囲が見て危険な運転だと気付いた場合や、事故を起こしたことがある時には、運転をいつ止めていくかを家族と本人で会議する。もし、アメリカでは事故があった場合、医師が逮捕される事もある。

<筆者所感>
CGA(高齢者総合的機能評価)を今回初めてしっかりと学びましたが、非常に大事な項目ばかりですね。CGAの特にいいところは、どんな医療者でも簡単にかつ、体系的に高齢者の機能の面を評価できるところです。特に見過ごされがちだけど患者さん本人にとっては大きな問題になる可能性が高い、社会的・精神的な評価が入っているところがポイントですね。
このCGAの最大の目標は高齢者の抱える問題を整理して、QOL(生活の質)を高める事です。そのため、高齢者医療に携わる全ての医療者がこのような評価ができるようになれば、もっと適切な専門医への紹介や、迅速な問題介入ができるのではないかと深く考えさせられました! いや~、今回も勉強になりましたね(^^)!!ホフマスター先生からの学びは今回が最後になります。緩和ケア・老年医学もすごく興味深く、大切な領域ですね。 では次回のぴっつ便りもお楽しみに!

文責:松口

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