米国家庭医療の指導医から得た学びについて。頴田病院では、飯塚・頴田家庭医療プログラムの一環として、米国家庭医療の指導医を定期的に招聘しています。

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ピッツバーグからの学び

#006 “日米の医学部卒前教育”

飯塚・頴田(かいた と読みます)家庭医療プログラム後期研修医の吉田と申します。

本日はいよいよ冬季セミナーですね。当直後の福岡は飯塚救命センターより本年初のピッツだよりをお届けします。あと7時間後には東大へ向けて出発です・・・

今回は、アメリカと日本の卒前教育についての対談です。

ピッツだより ⑥ “日米の医学部卒前教育”

2010年2月11日、第6回のピッツ訪問が始まりました。今回お招きしたのは、ピッツバーグ大学家庭医療学部のDr.Middletonと、Dr.Xiaです。Dr.Middletonは4年ぶり、Dr.Xiaは初めての来日ということで、教育セッションの前に日本とアメリカの卒前卒後教育のシステムについて対談をしました。ちなみに、Dr.Middleton(以下Dr.M)はピッツバーグ大学がもつ3つの家庭医療研修プログラムのうちの1つである、St Margaretの指導者です。また、Dr.Xia(以下Dr.X)はピッツバーグ大学本学の準教授で医学生の卒前教育の管理者をされています。

以下に、対談の内容を要約してお伝えします。

(Dr.M) 日本では、2年の初期研修のあと、どうやって専門医になっていくのでしょうか。

(我々) まず、専門科に籍をおく。任意で学会に登録し、一定期間の経過と症例提示、試験合格を条件として専門医を取得するのが従来の一般的なパターンです。

(Dr.M) あ、専門医取得の時期はまちまちなのですね。なるほど。

(Dr.M) ところで、日本にも家庭医になりたい医学生は多いのですか。

(我々) 日本の医療は専門分化が進んでいましたので、改めて患者の様々な問題を扱える ジェネラリストの一つとして家庭医を志望する学生が増えてきているように感じます。

(Dr.X) 家庭医になりたい人にとって、初期研修は何のためにあるのですか?

(我々) 日本の医学生は、コモン疾患の診療になれていないため、2年間の初期研修で、 たとえば救急外来を中心とした初期診療ができるようになることが目標です。

(Dr.X) それでは、初めからプライマリケアを志望している人にとっては、初期研修の2年間は繰り返しになってしまうのではないでしょうか。我々から見ると、家庭医療を志望する人が専門医取得に卒後5年(初期研修2年、後期研修3年)を費やすのは、少し長く感じます。

(我々) たぶん、卒前教育の違いがあるのではないでしょうか。日本の医学部では、4年次から臨床実習が始まりますが見学が主体です。6年次には医師免許の試験勉強があり、臨床経験にブランクが生じます。卒後初期研修で初めて主体的に患者診療に関わります。

(Dr.M) アメリカでは、4年次医学生は患者の診療義務が生じます。こちらでは、それは卒後1年目のレベルなのですね。

(我々) この際ですから、アメリカ医学生の卒前教育について、教えて頂けますか。

以下、お二人が教えて下さった概略を示します。

(アメリカの卒前教育)

1年次:多くの患者さんに触れるが、指導のもとで行われ責任はない。

2年次:大学での学びの一環として、より多くの患者診療を経験していく。半数の医学生はこの時点で医療に恵まれない人たち(ホームレス、薬物やアルコール依存症など)のフリークリニックでボランティアをすることで責任のある仕事に少しずつ慣れていく。あと半分の学生は研究室に入ったりして、様々なことを経験していく。

3年次:各科ローテーションが始まる。

4年次:アクティングインターンシップを開始し、インターン(一年目のレジデントのこと)の仕事を体験する。臨床医を目指すものはこの時期に専門科を選ぶ。マッチングのシステムを通して研修プログラムに内定すれば翌年より各専門医養成プログラムの研修医となる。

(家庭医療卒後研修)

(どうやって医学生に家庭医を選んでもらうか)

(筆者所感)

驚いたのは、アメリカの医学生は多額の借金を抱えながら、おそらく日本の医学生と違い、見学ではなく業務として卒前教育を受けていることです。プレッシャーの中で“仕事”をする時期が早いため、卒業後は明確なカリキュラムをもった専門医研修にすぐ移行できるのだと分かりました。

私は初期研修2年目の地域ローテーション中に、家庭医となることを決めました。それにより、翌年からの後期研修を“プライマリケアの役に立つ”という目標を持って望むことができて、研修の密度が一変した経験があります。

Dr.Xiaの、”プライマリケア志望者にとって、初期研修とプライマリケア医の専門研修はかぶっていませんか?”というのは、ある意味的を得た指摘で、今後家庭医を志望する後輩と付き合うときに、よく考えていく必要がありそうです。

このセッションで心に残った言葉は、Dr.Middletonの“家庭医にとって、高血圧の治療は最も危険なものを相手にするつもりでやれ”です。予防医療のプロとしての家庭医の気概を、よく表していると思います。

セッションの最後に、お二人が言いました。
“ある集団の医療水準を測る方法は、平均寿命、乳児死亡率、患者満足度の3つです。”
“我々米国は、前者二つの点において、あなたたちの国に及ばない。ですから、この訪問で我々があなたたちに貢献できそうなのは、患者満足度なのです。”
“家庭医療は、患者がどんな人で、何を考えているのか、信仰はなんなのか。コミュニケーションの中で、その患者に最良の医療を提供する。それが患者満足度につながることを、我々はあなたたちに伝えたい。”
このような熱い目的を持った方々を迎えられることを、光栄に思ったのでした。

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