米国家庭医療の指導医から得た学びについて。頴田病院では、飯塚・頴田家庭医療プログラムの一環として、米国家庭医療の指導医を定期的に招聘しています。

〒820-1114 福岡県飯塚市口原1061-1

電話 09496-2-2131

ピッツバーグからの学び

#005 “DM外来診療の Rule of three”

にっぽんの家庭医MLをご覧の皆様

飯塚病院、家庭医療後期研修医の吉田と申します。 アメリカ・ピッツバーグ大学家庭医療部の先生方をお呼びして 得た学びを”ピッツだより”としてお届けします。2009年9月下旬、ピッツバーグ大学臨床準教授のDr. Dewarが再び飯塚に来られました。 第5回は、糖尿病管理についてのケースプレゼンテーションでのディスカッションの模様をお伝えします。

ピッツだより ⑤ ”DM外来診療の Rule of three” (症例1)

44歳女性が職場検診の結果を持って外来にきた。
身長158cm、体重65kg、BMI 26、血圧120/80mmHg、HbA1c 7.1%、 FBS 140mg/dl、飲酒:ビール350ml/日、母が糖尿病で、自分も糖尿病になるんじゃないか心配。

DMの教育、減量、断酒、継続受診、食事療法、運動療法…初診での説明に30分かかった。指導医には、30分は長いから、エッセンスだけまず話せば良いといわれた。何をどうやって伝えたらよいか。以下、Dr.Dewarのコメントです。

(効率よくDMについて話すためには)

(初診でやること2つ)

  1. きちんと診断して、患者に告げる(この人は…FBS とHbA1c から糖尿病ですね。)
    →きちんと運動療法・食事療法をすれば、服薬なしで治る
  2. 1ヶ月後に受診するよう告げる(網膜症、重度の腎症がなければ)

(飲酒の推奨量は?)
糖尿病患者では、飲酒は1g 7kcal と高カロリーな上、肝臓での糖新生抑制のため、低血糖が誘発されることもある。一日エタノール換算で30ml(ビール350ml)までとする。つまりこの人はこれ以上の量の飲酒は勧められません。

(一回の受診で患者をハッピーにするには?)

☆(Rule of three)

(手書きは大事)

(この人に内服治療は必要か?)

副作用:下痢と腹痛です。予防には、食事と一緒に服用し、増量は少しずつがよい です。他に乳酸アシドーシスがあります。この薬は使いこなせた方がよい。他のDM治療薬の効果をアップします。アメリカでは2g2xまで使えます(日本では750mgまで)。
⇒メトホルミン最高量でもだめなら、アマリールを使います。

少なくてもいいから、自分が良く使う薬の投与量、最高量、副作用とその予防法は覚えておきましょう。

(低血糖にならないの?)

(インスリンの適応は)

(Hb1ACはいくらになればよいか)

(他にフォローする内容)

(ACEとHibは医療を変えた)

ACEはDM腎症予防に劇的な効果がある。使うべし。

(薬をやめることはあるのか)
HbA1cが6以下だと、中止することはある。たいてい、患者がライフスタイルを改善させているので、褒めた上で中止する。他に、メトホルミンの乳酸アシドーシスなどがあったら、中止することもある。ただ、大抵は、DMは年と共に悪化していく。

(Tell them good things!!)
Do Celebration!! 患者が生活改善をうまくやったら思いっきり褒めましょう。

(筆者所感)
患者が最も影響を受けるのはテレビ。だからこちらもテレビコマーシャルの真似をして患者に良い影響を与えよう。というのがDr.Dewarの“Rule of 3”のヒントのようです。

You have diabetes. Your mother has diabetes, so you have diabetes, too. You should do exercise for your diabetes. I will ask you how much exercise you did in next visit for your diabetes♪

英語で聞くと、抑揚があっていいリズムです。“ああ、私は糖尿病なんだ”と強く刷り込まれそうです。また、“Rule of three”は、読み手に分かりやすく面白く情報を伝える、English Writingの基本技術でもあるようです。

なお、Dr.Dewarは大変な褒め上手。私たちもプレゼンの後は笑顔で”Good Job!!”をもらっています。先生の最近の流行りは”Good,Good,Good,Good…!!!!(両手でGoodサインを作って交互に機関銃のように連射)”です。

Dr. Dewarはメトフォルミンを推奨していました。重大な副作用である乳酸アシドーシスは、めったに起こらないという話でしたが、一応調べてみました。疫学的には、メトフォルミンによる乳酸アシドーシスが起こる頻度は10万人/年あたり9人程度です(Diabetes Care 1999; Inciedence of Lactic Acidosis in Metformin Users)。乳酸アシドーシスは① 腎不全(男性Cr 1.5以上、女性Cr 1.4以上 )、② 肝疾患またはアルコール乱用患者、③ 心不全、④ 乳酸アシドーシスの既往あり、⑤ 循環動態不安定、⑥ 低酸素または急性疾患時 では血中濃度が上昇しやすく、乳酸アシドーシスの頻度が14~27%まで上昇すると報告されており、禁忌ですし、このような病状になったら投与中止します。あと、シメチジン(タガメット®)と薬物相互作用があり、血中濃度が増加します(UpToDate: Metformin poisoning)。

上記を除けば、単独での血糖降下作用、他の経口血糖降下薬の作用増強、体重の減少ないし安定化などのすぐれた効果があり、米国や欧州の糖尿病協会のコンセンサスでは、2型糖尿病の第一選択薬となっています。

ピッツだより は皆様のやさしさで連載寿命が延びることがあります。 どうぞ忌憚のないご意見、ご感想を頂ければ幸いです。 レスポンスをお待ちしております。

医療法人博愛会 頴田病院

病院名称
医療法人博愛会 頴田病院
Hakuaikai Kaita Hospital
住所
〒820-1114
福岡県飯塚市口原1061-1
お問い合わせ連絡先
電話 09496-2-2131
ファックス 09496-2-0730
電子メール info@kaita-hospital.jp
診療科
総合診療科/小児科/整形外科/外科/眼科/耳鼻咽喉科/腎臓内科/リハビリテーション科/婦人科
診療担当表はこちら
診療時間
月曜日~金曜日午前8:30~午後0:30
午後2:00~午後5:00
土曜日のみ午前8:30~午後0:30

新患受付時間

月曜日~金曜日午前8:30~午前11:30
午後1:30~午後4:30
土曜日のみ午前8:30~午前11:30
診療時間の詳細はこちら
病床数
一般病床 32床
回復期リハ病床 28床
地域包括ケア病床 36床

当院へのお問い合わせはお電話・または電子メールをご利用下さい。

お電話・電子メールとも直接的に治療に係わるお問い合わせはご遠慮いただいております。予めご了承下さい。

電話 09496-2-2131
医療法人博愛会 頴田病院/〒820-1114 福岡県飯塚市口原1061-1

お急ぎでない方は、メールフォームをご利用ください。

頴田病院へのお問い合わせメールフォームはこちら